「オバケだって、カゼをひく!」富安 陽子
「オバケだって、カゼをひく!」
(内科・オバケ科ホオズキ医院 : 1)
富安 陽子 : 作 , 小松 良佳 : 絵
ポプラ社 , 143p. , 2006年
ISBN : 9784591090299
一月後半、冬真っ只中。インフルエンザが流行っています。
風邪予防には手洗いうがい。ほどよく重ね着、きちんとごはん。予防は早めに着実に。
それでも風邪を引いたなら、温かくしてゆっくり休息。それでもダメなら、お医者さんへ。
今日の一冊は、オバケがかかるインフルエンザ――鬼インフルエンザの予防に奔走する
「この世で唯一のオバケ専門医」鬼灯先生と、うっかり巻き込まれた恭平少年のお話です。
十月のある土曜日、小学五年生の恭平は家の近所のお堀へフナ掬いに出かけ、
フナの代わりに綺麗な貝ボタンを拾いました。
いつもの帰り道で見慣れない路地を見つけて近道だと喜んだ恭平ですが、
どこまでも続きそうな長い長い路地をやっと抜けてみれば、なんと行き止まり。
路地の先に建っていたのは、色とりどりの花に囲まれた洋館が一軒だけ。
玄関のドア横に掛かっている看板には、『内科・オバケ科 鬼灯医院』の文字。
どうやら病院のようですが、『オバケ科』なんて聞いたことがありません。
院長の鬼灯先生は、つやのある黒髪を額の中央で二つ分けして耳の上でカールさせ、
鷲鼻の下にはこれまた両端をくるりとカールさせた口ひげと、逆三角形のあごひげ。
医者というより怪しげな手品師と言った方がピッタリの風采をした、 なかなかの曲者です。
何しろ、注射嫌いの鬼にワクチンを打つために「鬼は子どもが好きだから(※)丁度いい」と、
留守番中の恭平を用件も告げず呼び出して口八丁で鬼の隠れ家の入り口に立たせ、
自分は影から大きなうちわで恭平をあおいで鬼をおびき寄せようとするような御仁です。
(※)勿論この場合『好き』は『好意』ではなく『好物』ですが、先生は意図的にトボけています。
そんな、顔も声も怖いしかなり無茶振りもするけれど、なんとなく憎めない鬼灯先生と、
つい巻き込まれてしまうけどいつも受身という訳ではなく、咄嗟の機転が利く恭平少年。
そんな凸凹コンビのお話は読みきりでシリーズ化しており、2011年に6巻目が出ました。
(※1巻目のこの本は残念ながら現在絶版なので、図書館などで手にとってみてください。)
読んでみようか迷ったら、巻末に載っている「鬼灯京十郎の診察日記」を、ぜひ。
オバケ豆知識と先生側から見た事件の顛末が短く書かれていて、一味違う面白さです。
備 考
おはなしフレンズ! : 15
トミヤス ヨウコ , コマツ ヨシカ
オバケダッテカゼヲヒク
ナイカオバケカホオズキイイン : 1