「ぼくはアフリカにすむキリンといいます」岩佐 めぐみ
「ぼくはアフリカにすむキリンといいます」
岩佐 めぐみ : 作 , 高畠 純 : 絵
偕成社 , 102p. , 2001年
ISBN : 978-4035010401
キリンは、アフリカ住まい。景色はいいし、ごはんもおいしいし、いうことなし。
――でも、ひとりぼっちで、なんとなく、退屈。
ある日、(同じく退屈を持て余していた)ペリカンの「郵便配達始めました」という
ポスターを見たキリンは、まだ会ったことのない「地平線の向こうに住む誰か」に、
手紙を書いてみることにしました。
七草を過ぎて、今年いただいた年賀状を改めて読んでいます。
そして、やっぱり、直筆のお手紙って嬉しいなぁ。と、しみじみ。
今日紹介する一冊は、アフリカに住むキリンと「地平線のむこう」で暮らすペンギンの、
大真面目で、どこかユーモラスな文通の様子を描いたお話です。
キリンの住むアフリカと、ペンギンの住むクジラ岬は、ずいぶん離れています。
もちろんお互い、相手に会ったことはありません。
キリンは最初の手紙の中で、『ながい首でゆうめいです』と自己紹介します。
それに対するペンギンの返信の一部分は、
『ぼくは、きみの手紙ではじめて首というものを知りました。
ぼくには首がないのでしょうか?それともぜんぶ首なのでしょうか?』というものでした。
お互いに首を長くして返事を待ち、手紙を書きながら、
キリンもペンギンも、まだ見ぬ文通相手のことを、いろいろ想像します。
キリンは、手紙を配達してくれたペリカンと一緒に。
(諸事情により、ペリカンもペンギンに会ったことはありません。)
ペンギンは、勉強を教えてくれているクジラ先生と一緒に。
それは、ちょっと退屈していた彼らにとって、とても楽しい時間でした。
そして、いよいよある日、キリンは『想像したペンギンくん』の格好をして
クジラ岬のペンギンに会いに行くことにしたのですが…。
手書きの手紙は、キリンが横書き、ペンギンは縦書き。
高畠純さんの挿絵が、またどことなくひょうきんな、いい味を出していて、
何度読んでも楽しい一冊です。
ふたりのやりとりを見ていて、誰かと文通したくなったクジラ先生の兄弟編。
『わたしはクジラ岬にすむクジラといいます』も、おすすめです。
備 考
偕成社おはなしポケット : 4
イワサ メグミ , タカバタケ ジュン
ボクハアフリカニスムキリントイイマス