「科学と科学者のはなし」寺田 寅彦
「科学と科学者のはなし」
寺田 寅彦 : 著 , 池内 了 : 編
岩波書店 , 284p. , 2000年
ISBN : 978-4001145106
こんな先生が身近にいたら、科学を好きにならないでいられるわけがない。
この本は、根っからの寅彦好きである池内氏が、青少年向けに編集した一冊です。
作者の寺田寅彦は、アインシュタインの来日歓迎会にも出席した第一線の科学者であり、
旧千円札の顔になった夏目漱石の愛弟子であり、自身も一流のエッセイストでした。
彼のエッセイを最初に読んだ高校生のとき、私はワクワクがとまりませんでした。
今でも読むたびに発見があり、読後の日常は彼の視点を得て益々楽しく、面白くなります。
科学者らしい冷静な好奇心に満ちた視点は、100年近く経った現代でもまったく古びたところなく。
それどころか今なお斬新で、キリッと角が立っていて、かつ、茶目っ気も見え隠れ。
読めば読むほど、寺田寅彦と言う人は(自身でも語っているとおり)、
「自然を恋人とした、自然が真心をうち明けた」科学者であり、文学者なのだと感じます。