「青い鳥文庫ができるまで」
岩貞 るみこ : 作
講談社 , 230p. , 2012年
ISBN : 978-4062177948
あなたの手元にある、一冊の本。
その一冊が書店の棚に並ぶまでにどんな工程があり、
どんな人たちが関わっているか、ご存知ですか?
この本は、架空の一冊(「白浜夢一座が行く!」)が企画され書店に並ぶまでの
約十か月を物語仕立てで追いかけた、一見どたばた出版コメディ。
その実、ほぼノンフィクションの真剣出版小説です。
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「科学と科学者のはなし」
寺田 寅彦 : 著 , 池内 了 : 編
岩波書店 , 284p. , 2000年
ISBN : 978-4001145106
こんな先生が身近にいたら、科学を好きにならないでいられるわけがない。
この本は、根っからの寅彦好きである池内氏が、青少年向けに編集した一冊です。
作者の寺田寅彦は、アインシュタインの来日歓迎会にも出席した第一線の科学者であり、
旧千円札の顔になった夏目漱石の愛弟子であり、自身も一流のエッセイストでした。
彼のエッセイを最初に読んだ高校生のとき、私はワクワクがとまりませんでした。
今でも読むたびに発見があり、読後の日常は彼の視点を得て益々楽しく、面白くなります。
科学者らしい冷静な好奇心に満ちた視点は、100年近く経った現代でもまったく古びたところなく。
それどころか今なお斬新で、キリッと角が立っていて、かつ、茶目っ気も見え隠れ。
読めば読むほど、寺田寅彦と言う人は(自身でも語っているとおり)、
「自然を恋人とした、自然が真心をうち明けた」科学者であり、文学者なのだと感じます。
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「ミラクル・ファミリー」
柏葉 幸子 : 著 , 徳永 健 : 絵
講談社 , 166p. , 1997年
ISBN : 978-4062086530
九人の父親を描いた、九つの家族をとりまく物語。一話読みきりの短編集です。
子どもの本では「母と子」を題材にした作品がよくありますが、この本では全編通して「父親」が鍵。
「お父さん」も「オヤジ」も「パパ」も――別の呼称の方がぴったりくる父も、出てきます。
内容は、思わずくすっと笑ってしまうものやファンタジックなもの、日本的ホラーにゾクッと肝が冷えるものや、大人になった今読むからこそ登場人物の行動が理解できるもの。そして、自然と涙がこぼれてしまうものまで、様々です。
子どもの頃に読んでも十分面白い作品ばかりなのですが、
この本はぜひ高校生以上の人にオススメしたい一冊です。
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「クリスマス物語集」
中村 妙子 : 編訳
偕成社 , 216p. , 1979年
ISBN : 978-4035210603
早いもので、一週間後はクリスマス・イブ。
私はクリスチャンではないけれど、小学生の頃から毎年、この時季にこの本を読みます。
前半は宗教色の強い作品が並び、後半は、わくわくするような詩や物語が並びます。
そしてラストは、「サンタクロースっているんでしょうか?」という女の子の質問に、
ニューヨークの新聞記者さんが絶妙な返信をした、有名な社説で幕を閉じます。
厳かで神聖な、宗教色の強い前半の作品群も良いのですが、後半部分が特に好きです。
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読書は個人の自由な楽しみだと思っているので、
夏休みの宿題のようにゴリ押ししたりはしませんが、
大好きな本や、手にとってもらいたい本は山ほどあり、
語りたい本もテーマも、次から次へと溢れるほどにある。
語彙と知識は少ないけれど、根っこと熱意はたんとある。
自宅のパソコン環境が数年ぶりに整ったことを良い機会に、
身近な本好きさんが背中を押してくれたことも、幸いとして。
(主に)児童書つれづれ語りブログ、始めます。